漢文道場はどっちがおすすめ?基礎編と通常版のレベルの違い。難易度は東大


この記事では、漢文の参考書・問題集「漢文道場 入門から実践まで」「漢文道場[基礎編]」について、現役予備校講師で私立進学校の国語科教科リーダーを務めた私が、その特徴、効率のよい使い方、またどっちを使うべきかなど、徹底的に解説をしていきます。

 

「漢文道場 入門から実戦まで」とは

・概要:漢文の学力を段階的に向上できるように設計された問題集

・著者、出版社:土屋裕(元駿台予備学校漢文科講師)、Z会

・目安となるレベル、偏差値:共通テスト対策、私立大学対策、国公立大学二次試験の土台作り(偏差値45~60)

・問題数:60題

 

「漢文道場[基礎編]」とは

・概要:漢文の勉強を今から始める人に向けられた問題集

・著者、出版社:Z会編集部、Z会

・目安となるレベル:受験漢文の土台作り(漢文をこれから始める人向け)

・問題数:50題

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漢文道場のレベル、難易度

 

・漢文道場 入門から実戦まで

基礎編、錬成編、実践編の三部からなり、前から順番に解いていくと自然とレベルアップし、大学受験に対応できる知識・読解力が身につけられるように構成されています。

大学受験に必須の句法や語彙は欄外にまとめられており、自分の知識の確認や、素早く復習するのにも適しています。

しかし、タイトルに「入門から実戦まで」とありますが、「漢文道場 入門から実戦まで」のレベルとしては、全体を通して基礎・入門よりは難しく、かといって大学受験の最後の教材として選ぶには少し物足りないという印象です。

内容としては、短いマーク式の問題と、知識の書き取りや短い記述を行うものが大半を占めています。共通テストで漢文が必要な受験生からすれば、求められる知識が難しすぎる上、複数の文章を横断的に見るトレーニングだったり、長い選択肢を選ぶ訓練ができません。国公立の二次試験のような、ある程度の長さを持った記述問題もありませんので、傾向としては私立大学のマーク式の問題に似た書き取り型の問題集ということになると思います。

これはどの教科にも言えることかも知れませんが、やみくもに手を出すのではなく、自分に必要な大学受験の漢文がどのレベルであるのか、いわばゴールの姿を先に知っておき、そこに到達するために必要な問題集を選ぶべきです。

 

志望校別に代表例を紹介しておきます。

・国公立理系(東大を除く)・共通テスト利用型入試を目標にしている人は、漢文の勉強は共通テスト対策まで

・国公立文系を目標にしている人は、漢文の勉強は二次試験の長文記述対策まで

・早稲田大学の文系学部、上智大学の文系学部、GMARCHの文学部を目指している人は、漢文の勉強は難関私立大対策まで

 

実際、この問題集を使用した口コミでも「基礎からだと思って買ったが難しすぎる」「二次試験対策には別の教材を用意した」という意見も見られます。

かなり評判の参考書ではありますが、共通テスト対策としては知識が難しすぎるため、どちらかというと国公立大学の二次試験対策、早上GMARCHの対策の土台づくりとして非常に適切な内容だと思います。

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・漢文道場[基礎編]

「漢文道場 入門から実践まで」でも説明したとおり、「漢文道場 入門から実践まで」は入門と謳いながらこれから漢文を勉強する人には少し難しい内容でした。

そこで、そういった人に向けて作られた問題集がこの「漢文道場[基礎編]」になります。

基本は「漢文道場 入門から実践まで」と似たような構成で、「漢文道場 入門から実践まで」の基礎編に当たる部分を充実させ、難しい部分をカットして、より親切にした問題集だと考えてもらえればと思います。

同じ出版社の問題集ですので、「漢文道場[基礎編]」に取り組んだ後に「漢文道場 入門から実践まで」に着手すると、よりスムーズに効率よく勉強ができるように設計されています。

 

とはいえ、必ずそういった手順を踏まなくてはならないと言うわけでもなく、「漢文道場[基礎編]」でしっかりと基本の内容を学習できれば、それぞれの志望校に向けた対策に舵を切っても差し支えない分量があります

裏を返せば、初めて勉強する人に向けられた問題集であるのと同時に、大学受験に向けた基礎的な学力(入試に頻出の知識など)を一気に詰め込む内容にもなっていますので、漢文に対して強い苦手意識がある人からなどは、「『漢文道場[基礎編]』でも難しい」というレビューもありました。

全体を通した評価としては、「基礎からの問題集であるが、基礎だけになりすぎず、しっかりと抑えるべきところは抑えてある信頼のできる問題集」になるかと思います。

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「漢文道場」の使い方・勉強法

ここからは、具体的に「漢文道場」をどのように利用していくべきかを解説していきます。

 

①これから漢文をべんきょする人

「漢文道場[基礎編]」「漢文道場 入門から応用まで」をおすすめします。

「漢文道場[基礎編]」で受験に頻出の句形や語彙・知識を学習した上で、「漢文道場 入門から実践まで」でより難しい知識や読解問題を練習する流れです。

もし取り組んでみて「漢文道場[基礎編]」が難しく感じられた場合は、河合出版「ステップアップノート10 漢文 句法ドリルと演習」や旺文社「基礎からのジャンプアップノート 漢文句法・演習ドリル」などのドリル形式の問題集にまず取り組んで、漢文勉強のリズムを作るのも良いと思います。

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②漢文をある程度勉強している人

「漢文道場 入門から応用まで」にいきなり着手することをおすすめします。

全60題とかなりのボリュームがありますので、やりごたえは十分だと思います。

一通りこなすだけでもかなりの力になりますが、より漢文を得意にしたい人は、特に後半の文章問題パートで、「いかに点数を取るか」ではなく「いかに文章を読み切るか」を目標に取り組んで貰えるとよいかと思います。

具体的には、

1、文章の書下し文を作成する……読めない漢字は調べる

2、文章の現代語訳を作成する……わからない句法は調べる

3、その上で問題を解く

の流れをおすすめします。

どうしても問題を解くことに重きを置いてしまうと、文中にわからない表現があっても「問題が解けたからいい」という気持ちになってしまいやすく、より深く学び取ろうとする姿勢になりにくいです。

また、句法や語彙などは、そのまま暗記しているだけではなかなか得点に結びつけることができません。実際の文章の中でその知識を取り出して使うことで、本当の学力として定着することができるのです。

それを徹底して行う方法が、「1、文章の書下し文」であり、「2、文章の現代語訳」になります。この問題集でここまでの勉強をやり切れた人は、漢文の勉強がほとんど終わったといっても差し支えないと思います。

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漢文道場が終わったら次は?

「漢文道場 入門から応用まで」の問題の傾向としては難関私立大学の対策に寄ったものになりますので、共通テストで満点を狙いたい人、国公立大学の二次試験向けの長文対策をしたい人は、その上でさらに別の対策を取る必要があります。

以下、具体的におすすめを挙げておきます。

 

・共通テストが最終目標の人

共通テスト向けの漢文の問題集共通テストの過去問(赤本、黒本、青本)、各予備校の共通テスト予想問題集(Z会:共通テスト実戦模試、河合出版:マーク式総合問題集、駿台:共通テスト対策問題集など)

 

・国公立二次試験(東大、旧帝大含む)が最終目標の人

河合出版「得点奪取 漢文」各大学の過去問(赤本)の書下し、現代語訳

※国公立大学の二次試験は、東大や旧帝大を含め、ほとんどの問題で「現代語訳」を要求してきます。付された問題が解けるか解けないかも勿論大切ですが、問題になっていない箇所の「書下し+現代語訳」ができるように勉強しておくことも大切です。

 

・難関私立大学(早稲田大学の文系学部、上智大学の文系学部、GMARCHの文学部等)が最終目標の人

各大学の赤本(早稲田であれば教学社「早稲田の国語」もあり)、河合出版「入試精選問題集 漢文」(「漢文道場 入門から実践まで」の実践編と同系統の問題集です)

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